私たちが考える社会問題と私たちにできること



若者の自殺が増え続けており、

日本は深刻な状況にあると言えます。 


データを元に考えてみたいと思います。


日本の年間自殺者数は、1998年にピークを迎え、そこから14年連続3万人を超えていました。2009年からは10年連続で減少していましたが、2020年にコロナの影響もあり、再び増加します。

 

令和4年版自殺対策白書ー厚生労働省より
令和4年版自殺対策白書ー厚生労働省より

 

年齢別の死因順位を見ると、15~39歳の各年代の死因の第一位は自殺であることが分かります。

 

令和4年版自殺対策白書ー厚生労働省より
令和4年版自殺対策白書ー厚生労働省より

 

こうした状況は国際的にみても深刻であり 、若い世代(10歳代及び20歳代) で死因の第1位が自殺となっているのは、先進国(G7)では日本のみであることも分かります。

 

 


人が自殺に至る理由は、一つではなく、複合的な悩みや課題が連鎖する中で、「もう生きられない」「死ぬしかない」と、追い込まれた末に亡くなっていることが多いといいます。

NPO法人ライフリンクより
NPO法人ライフリンクより


若年層の自殺の増加については、生きる阻害要因が大きくなっていることよりも、促進要因が少なくなっていることが背景にある、とも言われます。

NPO法人ライフリンクより
NPO法人ライフリンクより

自殺対策支援を行うNPO法人ライフリンクの代表、清水康之さんの言葉を引用させていただきます。

 

「若い人たちからは、『死にたい』というより、『消えたい』『もう生きていたくない』といった声を多く聞きます。まさに、死にたいのではなく、生きていることをなくしたい、その手段として自殺を考えるということなのだろうと思います。自分がやりたいことよりも『どうすれば周りに評価されるか』を気にしなければならない中で『過剰適応』(※)を起こし、それを続けている内に、何のための自分なのか、自分が一体何者なのかが分からなくなっていくという悪循環に陥ってしまっているのではないかと感じます」

※自分自身を押し殺して、無理をしてでも周囲に合わせようとすること

私たちにできること


今すぐに死にたいわけではないけれども、

常に生きることと死ぬことの間で揺れている若者は、身近にいても不思議ではない状況にあるのではないかと思います。

 

そんな中で、engawaとしてはどういう働きかけができるのかを図にしてみました。

 

 

阻害要因の重量が増えてくると板は傾き、孤独孤立、希死念慮といったネガティブな思考が強くなります。

阻害要因は、病気、障がい、貧困、仕事のプレッシャー、家庭不和、人間関係のつまずきなど、多種多様です。

 

engawaでの促進要因として、対話や施術や空間での癒やしを感じることで、心地よさや楽しさなどといった自分を肯定されているような感覚を覚え、ポジティブな感情が増えることが予想されます。

 

しかし、心は常に揺らいでいるため、その場を離れてしばらくすれば阻害要因の方へ傾きがちになります。

 


そこでengawaがまずできることの一つとしては、

①継続して場に来ていただいたり、つながっていただくことだと考えます。一度ではなかなか変わらなくても、続けてプラスの刺激を受けていくことで、目に見えない変化が積み重なっていきます。

 

そして、

②阻害要因となっている様々な状況に対しても、対話や施術を通してアプローチができればと考えます。

大切にしていることは、問題を解決する場になるのではなく、解決のために、悩んでいる人と一緒になって考えていく姿勢です。

こちらが解決してしまえば(簡単に解決できることばかりではないですが)本人が楽にはなるかもしれませんが、また同じ壁にぶつかったときに困るかもしれません。共に考える。そうすることで、今後の本人の力につながっていくのではないかと思います。

 

①と②を繰り返していくことで、

その人自身が心地いいことや、その人の自分らしさに気付くきっかけになり、結果的に自分を生きる力につながっていくと考えます。